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【新刊案内】『豊かな内水面水産資源の復活のために−宍道湖からの提言』

発売中です! ご注文方法は下記をご覧ください。お得なセット販売も行っています(〜2020年5月15日ご注文分まで)

豊かな内水面水産資源の復活のために
かな内水面水産資源復活のために
−宍道湖からの提言
山室真澄:編著

A4判 148ページ
ISBN978-4-909119-15-5
定価 本体3,500円+税
 宍道湖ではかつてシジミの漁獲量が1万トンを超えていましたが,平成に入って漁獲規制が次第に強化されたこともあり,ゆるやかに減少を続けました。そして,平成18年の豪雨の影響による大量斃死以降変調をきたし,漁獲規制の強化を行って資源を保護してきたにも関わらず,平成24年には過去最低の1,700トンまで落ち込みました。
 島根県では,平成24年度から県内外の汽水域の環境および生物の専門家11名で構成される「宍道湖保全再生協議会」を組織し,総合的なアプローチによりヤマトシジミ資源急減や宍道湖で近年起こっているさまざまな現象の原因を科学的に解明し,その結果に基づいて宍道湖の復活につながる提言を行うことをめざしました。同協議会が活動を開始して2年目になる平成25年秋にはヤマトシジミ資源が急回復し,協議会終了時には近年発生していたさまざまな現象についても科学的な解明が進みました。
 このプロジェクトにより解明された内容の多くは汽水湖だけでなく,淡水湖や河川も含む日本の内水面漁業が抱えている現象に共通しています。本書で解説される宍道湖のヤマトシジミ資源の回復や魚類減少の一因についての提案は,日本の各所で低下がみられる内水面水産資源環境の改善につながるヒントになるでしょう。
(本書「はじめに」より抜粋,改変)
 刊行にあたりプロジェクトの研究内容を編集しなおし,内水面の漁業や環境の現場に携わる関係者はもちろん,関心のある一般の人にも読みやすくまとめました。
─────────────────────────────────────
[目 次]

はじめに

【第1部 宍道湖の環境動態】
第1章 宍道湖における流動数値シミュレーションモデルの改良[井上徹教]
1. はじめに 
2. 宍道湖内への塩水進入
3. 風による塩水塊の混合と移動
3. 1.  4m/sの西南西の風を29時間連続で入力
3. 2.  8m/sの西南西の風を29時間連続で入力
3. 3.  13m/sの西南西の風を29時間連続で入力
4. 大橋川の拡幅の影響
5. まとめ
第2章 宍道湖および神西湖における光合成色素分析による植物プランクトン組成[谷幸則]
1. はじめに
2. 色素から推定される宍道湖および神西湖の湖水環境
3. まとめ
第3章 宍道湖への有機汚濁負荷となりうる斐伊川河岸植生の特性[浅枝隆]
1. はじめに
2. 河岸植生の実態
2. 1. セイタカヨシの特性
2. 2. 河岸土壌の栄養塩濃度
2. 3. 河岸植生の流出による宍道湖内有機物量の変化
2. 4. 沈水植物の増殖
第4章 宍道湖堆積物の有機物濃度とそこに住む動物の近年の変化[山室真澄]
1. はじめに
2. 1980年代から現在にいたる宍道湖の表層堆積物中の有機物濃度の変化
3. 1980年代から現在にいたるオオユスリカを中心とした大型底生動物の変化

【第2部 ヤマトシジミの生理・生態】
第5章 ヤマトシジミの好適餌料の推定および数値シミュレーションによるヤマトシジミ浮遊幼生の輸送・生残実験[笠井亮秀]
1. はじめに
2. 安定同位体比を用いたヤマトシジミの植物プランクトン同化効率
3. 数値シミュレーションによるヤマトシジミ浮遊幼生の輸送・生残実験
第6章 宍道湖におけるヤマトシジミの摂餌,排出と消化に関する研究[大谷修司]
1. はじめに
2. 宍道湖の代表的な植物プランクトンの増殖実験
3. カーミン顆粒懸濁液を用いたヤマトシジミの消化管の染色と解剖方法の検討
4. 野外から採集したヤマトシジミの摂餌・排出・消化過程
5. 植物プランクトンの単一種摂餌実験
5. 1. 藍藻Cyanobium sp.,ESS−1−2−8株
5. 2. 珪藻Thalassiosira pseudonana,SC−1株
5. 3. 緑藻Monoraphidium circinale,SO4−2株
5. 4. まとめ
6. 中海産大型珪藻の単一種摂餌実験
7. おわりに
第7章 宍道湖におけるヤマトシジミなどが含有する脂肪酸に関する研究[島根県保健環境科学研究所]
1. はじめに
2. 植物プランクトンを餌に用いたヤマトシジミの飼育実験
2. 1. 実験方法
2. 2. 結果および考察
2. 2. 1. 餌の脂肪酸含有量・組成
2. 2. 2. ヤマトシジミの脂肪酸含有量・組成
3. ヤマトシジミの脂肪酸モニタリング調査
3. 1. 実験方法
3. 2. 結果および考察
第8章 ヤマトシジミ資源の推移と環境要因[島根県水産技術センター]
1. はじめに
2. 2010年以降のシジミ資源の減少要因
2. 1. シジミ資源量の推移と新規加入および成長
2. 2. 資源変動をまねいた環境要因
2. 2. 1. 秋から翌年春にかけての減少
2. 2. 2. 新規加入と成長の不調を引き起こすと推定される原因
3. 各種植物プランクトンのシジミにとっての餌料価値
3. 1. シジミの浮遊幼生および着底稚貝に対する餌料価値
3. 2. 成貝に対する餌料価値
3. 3. 稚貝に藍藻を投与した場合
3. 3. 1. 藍藻Cyanobium sp.を高密度でシジミ稚貝に投与した場合の餌料価値
3. 3. 2. 稚貝に対するアオコ形成藍藻Microcystis ichthyoblabe(GS−1株)の餌料価値
4. 浮遊幼生の水平分布と分散過程
4. 1. 浮遊幼生の水平分布−通常塩分時と高塩分時の相違−
4. 2. 産卵誘発の機構
4. 3. 母貝量,浮遊幼生出現量,着底稚貝量の関係
5. 雑種ツツイトモの塩分耐性
5. 1. 草体の塩分耐性
5. 2. 殖芽の塩分耐性
第9章 ヤマトシジミに対する貧酸素および硫化水素の影響[管原庄吾・清家泰]
1. はじめに
2. 底成層の発達と破壊
3. ヤマトシジミの殻長別硫化水素耐性
4. 貧酸素下でのヤマトシジミの死亡
5. ヤマトシジミに対するアンモニアと硫化水素の毒性比較試験
6. 硫化水素区において成貝が先に死亡した要因の解明
7. 硫化水素発生抑制剤の開発

【第3部 ヤマトシジミと環境】
第10章 塩分が影響する宍道湖のヤマトシジミの稚貝数増加と成長速度[石飛裕]
1. はじめに
2. コフォート解析によるヤマトシジミの成長動態と環境の関係
3. おわりに
第11章 ヤマトシジミの移動に関する流動実験および浅場整備と水草が流動に及ぼす影響[矢島啓]
1. はじめに
2. ヤマトシジミの移動様式
2. 1. 実験の概要
2. 2. ヤマトシジミの移動評価
2. 3. 実験から得られたヤマトシジミの移動限界
3. 浅場整備と植生が水環境に与える影響
3. 1. 浅場整備に伴う波浪場変化の評価
3. 2. 宍道湖における底質の安定性
3. 3. 浅場整備と水草が湖水の濁度に与える影響
4. 水草の繁茂が水環境に与える影響
4. 1. 調査の概要
4. 2. 水草の有無による流況と水質への影響
5. おわりに
第12章 宍道湖におけるヤマトシジミ稚貝の移動実態と水草類が移動に及ぼす影響[浜口昌巳]
1. はじめに
2. 宍道湖内における着底稚貝の分布調査
3. ヤマトシジミ稚貝に及ぼす水草の影響評価

【第4部「宍道湖ヤマトシジミ統合モデル」の構築】
第13章「宍道湖ヤマトシジミ統合モデル」の構築[島根県水産技術センター]
1. はじめに
2. 塩分変化を再現する流動モデルの構築
3. 塩分変化に応答するヤマトシジミの代謝活性を考慮した生態系モデルの構築
3. 1. 既存モデルの改変
3. 2. 生態系モデルのテストランに用いたヤマトシジミの資源量分布
3. 3. 生態系モデルのテストラン
4. 餌環境の変化に応答するヤマトシジミの成長を考慮した生態系モデルの構築
4. 1. 月初階級別殻幅組成(2〜33mm)と新規加入の個体数の設定
4. 2. 階級別月間漁獲係数(F),水揚げされない漁獲死亡係数(FG),自然死亡係数(M),鳥類の捕食(Mb)の設定
4. 3. 成長量
5. 宍道湖ヤマトシジミ統合モデルの構築と適用
5. 1. 宍道湖ヤマトシジミ統合モデルの構築と再現性試験
5. 1. 1 塩分による植物プランクトンの優占種の変化
5. 1. 2. ヤマトシジミの資源量,漁獲量の計算結果
6. おわりに
まとめと残された課題[山室真澄]
1. はじめに
2. ヤマトシジミの増減は,塩分によって珪藻か藍藻のどちらが優占するかで決まる
3. ヤマトシジミ資源量が少ないときは,潜水ガモ類による捕食の影響が大きい可能性がある
4. 水草の繁茂はヤマトシジミ稚貝の移動を妨げ,局所的貧酸素化により資源減少をまねく
5. 斐伊川河岸にはヨシなどの植物起源有機物が蓄積されているが,斐伊川放水路により極端な流入は回避できると考えられる
6. 農薬がヤマトシジミ以外の漁獲対象種を減少させた可能性がある
7. 考えうる対策と課題

コラム
1:宍道湖の概要
2:漁獲物としてのヤマトシジミ
3:宍道湖の水中植生の特徴
4:ヤマトシジミの生活環
5:ヤマトシジミからみた浅場の特性
6:宍道湖湖沼水質保全計画


[著者紹介]
編著者
 山室真澄(東京大学大学院新領域創成科学研究科)
著者(五十音順)
 浅枝隆(埼玉大学名誉教授)
 石飛裕(特定非営利活動法人自然と人間環境研究機構)
 井上徹教(国立研究開発法人海上・港湾・航空技術研究所港湾空港技術研究所)
 大谷修司(島根大学教育学部)
 笠井亮秀(北海道大学水産科学研究院)
 管原庄吾(島根大学大学院総合理工学研究科)
 清家泰(島根大学名誉教授)
 谷幸則(静岡県立大学食品栄養科学部)
 浜口昌巳(国立研究開発法人水産研究・教育機構瀬戸内海区水産研究所)
 矢島啓(島根大学エスチュアリー研究センター)
 島根県水産技術センター
 島根県保健環境科学研究所
〈内容見本〉
豊かな内水面水産資源の復活のために−宍道湖からの提言 


<関連書籍のご案内>
里湖 モク採り物語 
里湖 モク採り物語 50年前の水面下の世界
平塚 純一・山室 真澄・石飛 裕:著
A5判/144ページ/定価 本体1,700円+税
ISBN978-4-915342-48-6
 日本人の生活圏の中には周囲の二次林を管理し,生活の一部とする「里山」という文化がある。しかし,この文化 も生活の向上とともに姿を消しつつある。湖の周辺に住み,湖と生活をともにしてきた人々も,同じように湖を「里湖(さとうみ)」として管理しながら,生活 の一部に取り入れていた。現在は多くの湖沼で生活排水や化学肥料が流入し,その姿を変えてしまったが,50年前には水面下に植物が生い茂り,そこを生活の 場として動物が豊富に生育していた。とくに「モク採り」とよばれる沈水植物の収穫は肥料としての利用以上に,湖の生態系を管理する役割もはたしていた。
 近年,自然再生への市民の関心は高い。身近なところにある木々にはじまり,里山,海浜,そして湖沼。しかし実際にどのような,いつごろの自然を再生すればよいのだろうか。
 本書は,そんな疑問から端を発し,全国の湖で「モク採り」に関わってきた人々を対象に実際に聞き取り調査をおこない,多くの地元の関係資料を参照しながら,50年前の人々の暮らしぶりや水面下の世界を描いたものである。

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貧酸素水塊
山室 真澄・石飛 裕・中田 喜三郎・中村 由行:著
A5判/236ページ/定価 本体2,800円+税
ISBN978-4-915342-68-4
 日本の多くの閉鎖性水域で発生している貧酸素水塊の大部分は人の活動による富栄養化に 起因するが,地形などの要因により自然に生じている水域や,逆に人為的な改変がきっかけで解消した事例も存在する。貧酸素水塊の弊害もさまざまなものがあるが,もっとも顕著なのは水産生物への影響であり,この問題はわたしたちの食卓にもつながっている。
 本書は多様な事例をもつ貧酸素水塊について,いつから,どのような原因で発生し,どのような被害が生じたのかを日本各地での具体的な事例として紹介し,対策技術別の実施例や実施後の状況をまとめた初めての成書である。
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竹内俊郎・中田英昭・和田時夫・上田宏・有元貴文・渡部終五・中前明・橋本牧:編
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